Monamily in Paris (...in London/in Tokyo/in New York/etc...)

派遣留学でパリの街に恋し、東京でアメリカ軍人の夫と結婚し、日系企業の駐在員としてロンドンで単身赴任中の私の純ジャパ奮闘記

【コロナ禍の欧州旅行】イタリア周遊 第1部・まるで亡命?渡航準備編 ~イタリア保健局との電話やりとり~

法科大学院の全ての授業を修了した2021年6月、私は念願のイタリア旅行に出ることに決めた。
フランスに移住するまではあまりヨーロッパに詳しくなかった私でも、イタリアは何となく行ってみたいと思っていた国である。

色々調べた結果、6泊7日で北イタリアの都市ヴェネツィアフィレンツェ・ローマを訪れることに決めた。
また、ヴェネツィアからはムラーノ島ブラーノ島にも訪れ、フィレンツェからはピサとチンクエ・テッレにも訪れることにした。

北イタリアで6泊7日観光の場合、ミラノにも行くのが一般的かもしれないが、個人的に大聖堂以外にそこまでめぼしいスポットがなかったのと、ヴェネツィアフィレンツェから行ける小さな島や村にも行ってみたかったので、ミラノは外すことにした。

今までの記事ではあまり行程を記載してこなかったが、今回は周遊しているので以下の通り紹介。

・6/6 Sun(1st 観光:ヴェネツィア 宿泊:ヴェネツィア市内)
・6/7 Mon(2nd 観光:ムラーノ島 → ブラーノ島 宿泊:ヴェネツィア市内)
・6/8 Tue(3rd 観光:フィレンツェ 宿泊:フィレンツェ市内)
・6/9 Wed(4th 観光:ピサ → チンクエ・テッレ   宿泊:フィレンツェ市内)
・6/10 Thu(5th 観光:ローマ・バチカン市国 宿泊:ローマ市内)
・6/11 Fri(6th 観光:ローマ 宿泊:Fiumicino空港)
・6/12 Sat (7th 観光:なし 宿泊:自宅)

当初はローマから入ってヴェネツィアに出る逆回りコースを考えていたのだが、フランス帰国前にPCR検査を受ける必要があったため、病院が見つけやすい大都市のローマを最終目的地とする上記コースに変更した。

 

そう、2021年6月といえば、欧州でさえ未だ所謂ワクチンパスポートが無かった時代である。
殆どの国では、入国時にはPCR検査または抗原検査のどちらかでの陰性証明が必要であった。
イタリアとフランスも例外ではなく、イタリアは入国前48時間以内の抗原検査陰性証明、フランスは入国前72時間以内のPCR検査陰性証明を求めていた。
(余談ながら、コロナ初期にフランス移住したため、フランス在住中はコロナ禍で使われ始めたような日本語語彙を色々知らず、「抗原検査」という日本語を知ったのは日本帰国後であった)

この数ヶ月後には各国の入国規制を調べられるウェブサイトなども登場したが、この頃は未だ大使館や政府のウェブサイトから直接情報収集するのが一般的であった。
当然、日本からではなく、フランスからイタリアに渡航するため、情報源は「在フランスイタリア大使館」と「在イタリアフランス大使館」となる。
つまり、基本的に最新情報を正確に得るためには、フランス語又はイタリア語で書かれたホームページから情報収集する必要があったのだ。

 

さらに、当時のイタリアでは州ごとに別のルールが敷かれており、政府のホームページで各州のルールを調べようとしたところ、私が着陸するヴェネト州については、

「州の保健局に電話で確認しろ」

と書かれていた。

えっ・・・・(@ ̄□ ̄@;)!!

21世紀になって大分経つのに、電話・・・・?

ヴェネツィアに旅行する人は全員電話することになるけど、保健局の電話パンクしないの・・・?

全く意味が分からない。
友人に相談することも考えたが、コロナ禍の入国規制ルールは頻繁に変更されるため、最新情報は自分で当局に確認したほうが無難である。古い情報を鵜呑みにして結果的に入国できなかったらシャレにならない。

仕方ないので、ウェブサイトに記載されていた保健局の電話番号に発信することにした。

「Buon giorno!」

保険局の担当者は電話に出るや否や、マシンガンのようにイタリア語で何かを話し始めた。

「ぼ....…ボンジョルノ! Actually, I don't speak Italian but I have some questions about...」

 とにかく聞きたいことを質問せねば、と私が英語で話し始めると、彼は怪訝そうな声で言い放った。

「What? Don't you speak Italian? (何?あんたイタリア語話せないの?)」

「Sorry, I don't (ごめん、話せない)」

「Why?(なぜ?)」

えっ・・・・(@ ̄□ ̄@;)!!

イタリア語話せないことに理由が必要なの!?Σ( ̄□ ̄|||)

「Because I've never been to Italy and it's the first time to visit....(今までイタリアに一度も行ったことなくて、今回初めて行こうと思ってて・・・)」

私は唖然とした表情で回答した。

「Where are you living? (あんた何処住んどるねん)」

「I'm living in Paris (パリに住んでますけど・・・)」

すると、保健局担当者は突然フランス語に切り替え、

「D'accord, Tu parles français alors. Je peux aussi parler français. (わかったよ、じゃあフランス語なら話せるだろ?俺も話せるぜ)」

と言って、今度はフランス語でマシンガンのように話し始めた。

「W...wait, I don't speak French a lot.... (ちょ、ちょい待って、私フランス語も殆ど話せないねん)」

「Why? (なんで?)」

あー!再び理由聴かれた(@ ̄□ ̄@;)!!

そして、さっきとは違ってフランスに住んでるのにフランス語話せない理由聴かれてるから、何か悪いことしてるみたいな気分に苛まれるんですけどΣ( ̄□ ̄|||)

「Because I moved to France just a few months ago....(数ヶ月前にフランスに移住したばっかりだから未だ話せないねん・・・)」

「Where are you from? (どこ出身?)」

「I'm originally from Japan. (日本なんよ)」

「Japan? You'll need to take two-week quarantine if you come to Italy. (日本?日本からだと、イタリア着いて2週間隔離必要だぞ?)」

いや、だからパリに住んでるってさっき言ったやん(@ ̄□ ̄@;)!!

何で日本から渡航することになってんねんΣ( ̄□ ̄|||)

「Ah...anyway, I have some questions. Could you speak English please? (あああ・・・とにかく、質問があるんです。英語で話してもらえませんか?)」

気を取り直して話を本題に戻そうとしたところ、

「No, I don't speak English a lot. Wait for a minute. My colleague will come back soon. He can speak English well. (んにゃ、俺は英語沢山は話せない。ちょっと待ってろ。同僚がもうすぐ戻るから。そいつは英語うまい)」

と言い放たれ、その同僚とやらが戻ってくるのを電話越しに待たされることとなった。

結局、その同僚は親切に英語で対応してくれて、ヴェネツィアで必要なのはイタリア入国に必要な書類のみで、ヴェネト州オリジナルの要件は無いということがわかり、私は安心してイタリアに渡航することができた(尚、この無駄に長引いた国際電話のせいで、当月の携帯電話料金が普段よりも1000円以上高かったのは言うまでもない)。

 

コロナ禍初期の国外旅行では、ただの観光目的の渡航でも亡命するかのような入念な下調べと準備が必要となる。

日本では皆周囲の目を気にして旅行すること自体を自粛するが、欧州ではルールさえ問題なければ皆自由に旅行する。
だが、その自由には当然責任が伴う。検査結果の要件未達で入国できなかったり、マスクの種類が旅行先の指定したモノに該当せず罰金を取られたり、最悪の場合は本国に帰って来れなくなるリスクさえもある。
それらのリスクを防止するためには、入国要件を自ら入念に確認するしかない。勿論、抜け漏れがあってもチェックが厳しくなかったために何事もなく旅行を楽しんだ人も少なくはなかっただろう。
しかしながら、最悪の事態が考えられる以上、特に現地語がマトモに話せないような人間はトラブルに巻き込まれるリスクも高くなるため、必ずきちんと準備した方が良い。

さて、今回は渡航準備だけで1つの記事となってしまったが、次回以降は実際に私が訪れたイタリアの都市についてお話ししていきたい。

 

※【コロナ禍の欧州旅行】シリーズの記事一覧は以下のリンクよりご覧いただけます。

monamilyinparis.hatenablog.jp