Monamily in Paris (...in London/in Tokyo/in New York/etc...)

派遣留学でパリの街に恋し、東京でアメリカ軍人の夫と結婚し、日系企業の駐在員としてロンドンで単身赴任中の私の純ジャパ奮闘記

ディズニープリンセスは女性の社会進出の歴史

「女性の歴史を知るには、ディズニープリンセスを観るのが手っ取り早い」って言うくらい、ディズニープリンセスシリーズの映画を観ると、各映画が公開された各時代における女性の生き方がわかります。

厳密に言うと、アメリカの女性の歴史なのかもしれないけど、日本含め多くの国が同じ時代を歩んでいるんじゃないかな。

ちょうど先日、アナと雪の女王劇団四季版を観てきました。
9年前にこの映画を映画館で観た時、「ついにディズニーもここまで来たか。これを観たキッズたちが大人になる頃には、益々少子化が進みそう」と感じたことを思い出しました。

ディズニープリンセスって、登場人物の性格や物語の教訓が、原作の童話とは完全に置き換えられていたりするから興味深いんですよね。

1937年・・・お姫様は静かに眠り、いつか王子様が来てくれるのを待ち侘びていれば良かった「白雪姫」の時代。
1950年・・・第二次世界大戦直後、多くの男性が戦死したことで、女性はとにかく必死に積極的に結婚相手を探す必要があった「シンデレラ」の時代。
ちなみに、原作・グリム童話のシンデレラは、こんなに積極的な性格ではありません。
1991年・・・フェミニズムの台頭と封建主義の崩壊が、ちょっと極端な形で描かれた「美女と野獣」の時代。
女性の社会進出が進んだことで、新しい時代の女性を描きたかったのだろうけど、色々と中途半端で無理があるのが特徴(笑)
まあ、日本だと、男女雇用機会均等法と共同参画社会基本法の狭間の時代ですから、この中途半端感がしっくりきます。
1997年(※再公開年)・・・生まれ育った地域の伝統や家系に縛られず、一目惚れした男性と駆け落ちして都会に移住することにステータスがあった「リトルマーメイド」の時代。
日本だと、渋谷のような街に求心力があった時代で、成功を夢見て地方から上京する若者が多かったり、出来ちゃった婚がブームになったりした時代。
現在のようにインターネットが普及すると、地方格差が無くなり、このような考え方も衰退しますよね。

私は特にディズニーに詳しいわけではないし、映画も全て観ているわけではないのですが、(ついでに言うと、フェミニストでもないw)、観る機会を得られた際には、毎回そういった部分に注目して観てしまいます。

・・・で、本題の2013年。
アナと雪の女王がすごいと思ったのは、アナがハンスと結婚すると言った時、姉エルサが「出逢ったばかりの人と結婚なんて絶対に認めない」趣旨のセリフを言い放ったこと。
歴代のプリンセスがほとんど一目惚れで結婚してるゆえ、このセリフはとても印象的でしたね。極めて現代的。
DVや結婚詐欺など、様々な危険がはびこる現代社会において、エルサはとても大事なことをキッズたちに教えてくれていますね。
アナは最終的に、白馬に乗った完璧な王子様ではなく、人間味のあるクリストフという男と結ばれるわけですが、この恋愛の過程も極めて現代的。
2人は協力して様々な困難を乗り越えていく中で、いつしか恋仲になるわけですから。
我々の現実世界でも、部活とか学園祭の準備とか、力を合わせて何かを頑張っていく中で、自然とお互いに惹かれ合って、相手のダメな部分も含め認め合い、恋に落ちるというのが現代人の典型的な恋愛。
ディズニープリンセス映画がそれを体現しているのは、とても新鮮でした。
そして、エルサの方に至っては、なんと恋人がいない設定。これも斬新でしたね。
歴代プリンセス13人の中で一番年上にもかかわらず、唯一恋人がいない設定なのが彼女です。

劇団四季版には出てこなかったけど、社会現象となった劇中歌のうちの1つ「生まれて初めて(リプライズ)」のシーン、これもすごい印象的でした。
何よりも、現代における女性(というより人間)の意志の強さとか、誰かを守ろうとする気持ちとか、そういった類のものを的確に表しているように思えます。
「山を下りて一緒に帰ろう。子どもの頃のような関係に戻ろう」というアナに対して、エルサは「自身の脅威からアナを守りたい」という気持ちから「できない」と言います。
それに対して、アナは「守ってもらわなくて構わない。私は恐れていない。だから戻ってきて」と言うんですよね。
いやあ、強い。この種のカッコよさをディズニープリンセスの主人公に感じたのは初めてです。
さらに、歌い終わった後、クリストフが「アナ、行こう」と言いますが、「行かない。エルサ、あなたを置いては行かない」と強く答えるアナ。
それでも「行きなさい」と言って、(アナのことを思って)強制的に帰そうとするエルサ。

兄弟姉妹のいない私が言うのは恐れ多いけど、「姉妹の関係性」という側面でシンデレラと対比すると感慨深いです。
シンデレラにおける姉妹は、結婚相手を取り合うライバル同士という関係性。自分が幸せになるためなら、他の犠牲は厭わないのが彼女たち。
一方、アナ雪における姉妹は、真逆ですよね。まず、妹の危ない結婚を姉が止める。そして、2人とも、自分を犠牲にしてでも相手を守ろうとしています。
自分の幸せよりも先に相手の幸せを考えられるようになったのは、60年以上の年月を重ねて変化した経済的な豊かさなども関係するんでしょうけど、中々考えさせられます。

アナと雪の女王は、何かと社会現象になりましたけど、個人的に一番感銘を受けたのは以上のようなところですね。
(「英語版も良いけど日本語吹替版の歌詞もかなりスゴイんだぜ」とか「劇団四季の新日本語版が印象的だった」みたいな全然違った視点のことも色々語りたくなりますが、まあこの辺りは他の方も色々考察されていると思うので、今回は割愛します)

あと、アナ雪の次に公開された「モアナと伝説の海」についても語りたいことが沢山あるのですが、これはまた別の機会に。
一番好きなセリフに関する考察は以前書いた下記の記事で既に語っていますが、社会背景との考察も別途やりたいなと思っています。

monamilyinparis.hatenablog.jp

・・・ということで、今までディズニーに興味のなかった方も、ぜひ観てみて下さい。
(私も子どもの頃はジブリ派で、大人になってからディズニー好きになった類の人間です)
世の中の変化がわかって面白いですよ!

 

※雑多な考察系の記事一覧については、以下のリンクよりご覧いただけます。

monamilyinparis.hatenablog.jp