Monamily in Paris (...in London/in Tokyo/in New York/etc...)

派遣留学でパリの街に恋し、東京でアメリカ軍人の夫と結婚し、日系企業の駐在員としてロンドンで単身赴任中の私の純ジャパ奮闘記

季節を感じるパリ・秋編

同じ場所でも季節や天気が違えば全く違う顔を見ることができるのは、パリも例外ではない。

私は2020年10月に渡仏し、2022年1月に帰国したため、2回経験できた季節とそうでない季節がある。

秋については2回経験しているが、事実上1度目の秋はロックダウンしていただけでなく、学校の課題で大分忙しく、そもそも写真を撮ることへの情熱が芽生える前だったので、秋のパリをきちんと撮影したのは2度目の秋が初めてだった。

2度目の秋も学校の課題は忙しかったが、季節の移ろいはタイミングを逃すと次は1年後となってしまうので、可能な限り予定を調整して撮影に出かけていた。

「日本は四季が美しい」という考えに反対するつもりはないが、原色系というか、ビビッドカラーの色合いが好きな人間ということもあり、私が見ていてワクワクするのはフランスの四季の方である。

 
 
 
 
 
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上記はパリでも人気のフォトジェニックなスポットだが、御覧の通り華やかで色鮮やかである。そしてカワイイ。そう、私に言わせれば、とにかくパリは可愛いのだ。

特にモンマルトル地区は、サクレクール寺院や丘から眺めるエッフェル塔などを季節で変わる色とりどりの木々と一緒にフレームに収めることができるスポットが沢山あり、写真を撮るには絶対に外せない場所である。

 
 
 
 
 
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上記はサクレクール寺院へと続く坂を上る途中のポイントで撮影。観光スポットど真ん中なので、マトモな写真を撮ろうとすると、人が通り過ぎるタイミングを待ってシャッターを切る必要がある(2021年の秋でもそのような状況だったので、コロナ禍でなければ撮影はかなり難航することが予想される)。

ここは、秋だけでなく春もピンクで春らしい写真が撮れるのでオススメだが、正直なところ、肉眼でパッと見て「キレイ!」というスポットではなく、そこそこ工夫して撮らないとそれっぽい写真が撮れないのでご注意いただきたい。

 
 
 
 
 
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こちらもモンマルトル地区。通りの名前が書かれたプレート(道路看板)も、私のお気に入りの被写体の1つで、プレートそのものもカワイイが、上記のように自然とコラボレーションさせるとさらに良い感じになる。最も、このパリのプレートのおかげで、東京でも町名と番地が書かれたプレートを意識的に見るようになった。

 
 
 
 
 
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モンマルトル地区の最後は、丘の上から眺める我らがエッフェルさん。この場所は本当に本当に言葉では言い表せないくらい大好きな場所で、特に夕焼けに染まった姿が美しいので、もし初めてのパリ旅行であれば、夕暮れ時に訪れることをオススメする。パリの無料展望台では、ラファイエットの屋上と並んでナンバーワンのスポットだと思う。

今回の写真は秋の風景だが、秋らしい色の木々の背景にオスマン建築の屋根、その向こうにエッフェル塔と街並みが映る趣深い景色が見渡せる。

 
 
 
 
 
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所変わってヴォージュ広場。こちらは自分で撮った写真ではなく、自分が被写体になった写真。この場所はヒトを入れて撮影する方が個人的に良いと思っているので、秋らしい背景で自分の写真が欲しい人は、この場所で写真を撮ってもらうのをオススメする。

 
 
 
 
 
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www.instagram.comこちらはプランタンの屋上から撮影。同じ百貨店の屋上だと断然ラファイエットの方が訪れる価値は高いが、マドレーヌ寺院とアンバリッドを真正面に紅葉した木々を見下ろせるスポットはプランタンの屋上だけなので、秋の写真を探しているのであればオススメ。

 
 
 
 
 
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リュクサンブール公園。たまたまベンチに座っていたパリジェンヌを被写体に撮影。この公園の好きな所の1つは、美しい自然の向こうにひょっこりパンテオンが見えること。

 
 
 
 
 
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www.instagram.comどの季節に訪れても美しい公園だし、散歩するだけでも気持ち良い場所だが、特に春と秋がオススメである。

 
 
 
 
 
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最後は関係者以外立ち入り禁止の場所で申し訳ないが、私の通っていたパリ第二大学の最上階(フランス式7階)の窓から眺める景色。こんな風にサクレクール寺院がキレイに見えるお気に入りスポット。残念ながら、コロナ禍で授業は初日を除きオンラインとなってしまったため、この場所で授業を受けたのは雨天の初日のみで、この景色の恩恵に与れたのは卒業(大学院なので正確に言うと修了)後、卒業証書を取りに行ったタイミングであった。

 
 
 
 
 
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さて、いかがだっただろうか。今回は季節感のある記事を書きたくて、「季節を感じるパリ・秋編」という企画で書いてみたが、好評であれば、また次の季節が訪れるごとにに冬編・春編・夏編も特集していきたいと思う。乞うご期待!

 

※もし、今日ご紹介した写真を気に入っていただけた場合は、Instagramの元投稿写真にも「イイネ(Like)」を押下してくださると、大変嬉しいです。

【フランス生活】パリで一番の眺望が見渡せる部屋に閉じ込められた話~後編~

※前編を未だご覧になられていない方は以下↓のリンクよりお読みください。

monamilyinparis.hatenablog.jp

 

~ 以下、前回のつづき ~

 

窓の外に広がるパリの大パノラマに背を向け、私は真剣にドアノブのネジ穴と向き合った。

集中力が限界を超えそうになった時、空回りしていた取っ手が少し重くなったのを感じた。人差し指の爪がボロボロになった右手で、ゆっくりとドアノブを下に引く。

 

動いた!!!

 

どのくらいの時間、私は軟禁されていたのか全く思い出せない。時空の曲げられたような異世界では、1秒も永遠のように感じた。
特徴のない小綺麗なリビングルームも、この時は天国のように見えた。

外に出られた。これで無事に年末年始を迎えられる――――。

ドアのネジ穴は相変わらず緩かったので、再びドアノブが外れる恐れがあると判断し、ドアは開けたまま固定することとした。そして、部屋を移動するときは携帯電話を肌身離さず持ち歩くことを誓った。私は所謂スマホ依存症とはかけ離れたタイプの人間だと自負しているが、危機管理の観点ではスマホは手放さない方が良いと実感した。現代社会では、他者と連絡が取れなくなると、完全に外界と遮断されてしまうのだ。

久々にスマホとパソコンが手元に返ってくると、私は小一時間の間に起きたと思われる浮世離れした出来事をとにかく友人に話したい気分になり、メッセージを送った。同時に、ドアノブが壊れたことをAirbnbのホストに話すべきかを相談した。

壊したと咎められて弁償しろと言われるのか、むしろ閉じ込められたと騒げば宿泊料を割引してくれるのか、あまりにシュールすぎる出来事だったので、はっきり言って全く見当がつかなかった。Yahoo!知恵袋で「Airbnbに泊まったらドアノブが取れて部屋から出られなくなりました。何とか出られましたが、ホストには正直に言うべきでしょうか?」なんて質問は一度も見たことがない。日本でそんな物件があったら見てみたい。

 

色々検討した結果、事実は事実として伝えるべきだということになり、私はホストにメッセージを送信した。

「窓を開けたら風が吹いて、寝室のドアがバタンと閉まって、ドアノブが外れて部屋から出られなくなった。何とかドアを直して部屋から出られたから良かったが、依然ネジ穴が緩いようなので、再発防止のためにもドアを直した方が良い」――――― こんな感じの文章だったと思う。

 

ホストはフランス人の若い白人男性で、夫婦と幼い子供でこの豪邸に住んでいたようだった。宿泊前の事前やり取りでも親切に感じ良く対応してくれたので、とても良いホストだとは感じていた。

果たして、私のドアノブに関するメッセージを読んだ彼は怒るだろうか、驚いて謝るだろうか――――― 反応が全く予測できず、返信が届くまで気持ちが落ち着かなかった。

 

ほんの5分程度で、私の動悸は止まった。ホストから返信が届いたのだ。おそるおそるAirbnbのウェブサイトにログインし、確認したメッセージの内容は予想の斜め上だった。

 

「ボンジュール!それは大変だったね。実は僕も以前2回ほど閉じ込められたことがあってさ、それからドライバーを寝室に置くことにしたんだ。説明しそびれてたけど、ドライバーは壁際の棚の上に置いてあるから、もしまた閉じ込められたら使うと良いよ!では、良い年末を(^^)/」

 

えっ・・・・

 

まさかの・・・・

 

閉じ込められること前提!!Σ( ̄□ ̄|||)

しかも本人は2回も閉じ込められてるΣ(・ω・ノ)ノ!

 

「ドライバーを寝室に置くことにしたんだ」じゃなくてさ・・・・

 

ドアを直せよ!!!!!Σ(゚Д゚;

こんな家に住んでるんだから金持ってんだろ!(@ ̄□ ̄@;)!!

 

東京では脱出ゲームというアトラクションが流行っていたが、この物件は脱出ゲーム付物件だったということだろうか。それならキチンと「脱出ゲーム有」と物件情報に記載すべきではないだろうか。

とりあえず笑うしかなかった。あまりに面白すぎる。

再発防止のためにドアを直すのではなく、再び壊れることを前提にドライバーを部屋に置くなんて聞いたことがない。

 
 
 
 
 
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数十分後、友人が訪れ、改めてドライバーを使ってしっかりとドアを直してくれた。このドタバタ喜劇のような1日に疲れ果てた私は夕焼けに染まるエッフェル塔凱旋門を見つめながら、心から友人に感謝した。

 

2022年を迎える瞬間も、友人とこの豪華絢爛なテラスで過ごした。コロナ禍でオフィシャルな年越しイベントは中止となっていたため、窓の外を盛り上げたのはヤンキーたちの非合法打ち上げ花火たちだった(フランスでは一般人の花火は禁止されているため、街中で花火をしている人がいたら、それは全て違法なヤンキー花火である)。

沢山の人々がアパルトマンの窓を開け、「あけましておめでとう!」と叫んでいる。大音量で音楽を流している部屋もあった。

日本では、クリスマスを友人と過ごし正月は家族で過ごすのが伝統だが、ヨーロッパは真逆で、クリスマスを家族で過ごし正月を友人と過ごす。良い歳した大人たちまで夜更かししてカウントダウンを楽しんでいるのは、何となく見ていて面白い。

 
 
 
 
 
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人類の長い歴史の中で、2021年は特殊すぎる年だったかもしれない。

だが、私にとっては物凄くエキサイティングな1年間だった。

この先の人生の中で、パリで一番の眺望が見渡せる部屋に閉じ込められることなんてあるだろうか。勿論、あってほしくない。

だが、ドアも壊れていないのに自ら一歩も部屋から出ようとしない日本人の自粛生活と比べたら、ドアが壊れても必死で外に出ようと悪戦苦闘するフランス人の生活は、あまりにも見ていて気持ちの良いものだった。

 

コロナ禍に海外赴任したことを不幸だと言う人もいるかもしれないが、コロナ禍だからこそパリに来られて本当に良かったと、今でも、心から、そう思っている。

 

 
 
 
 
 
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【フランス生活】パリで一番の眺望が見渡せる部屋に閉じ込められた話~前編~

私はパリのルーフトップが大好きだ。登る屋根が違えば見える景色も全く違う。そんなの当たり前だが、東京では殆ど気にしたことがない。だが、欧州では展望台や丘があればほぼ必ず登ってシャッターを切っていた。高台から眺める伝統的な建築物の屋根たちは私の心を鷲掴みにした。その中でも、特にパリのオスマン建築の屋根とエッフェル塔等のモニュメント、朝日や夕陽や雪景色のコラボレーションと共に季節の移ろいを感じるのが最高に心地良かった。

 
 
 
 
 
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上記のようにカワイイモニュメントをペアリングするのも好きだった。

(話が脱線するため割愛するが、日本に帰国してからもスカイツリーと雷門をペアリングして撮影している。ご興味があれば、私のもう1つのInstagramアカウント@monamilyintokyoをご参照いただければ幸い)

 

しかし、パリでは自由に登れる展望台やルーフトップが少なく、そもそも商業テナントは原則地上階(日本で言う1階)であり、上層階は全て居住用。つまり、眺望良好のスポットの殆どが居住用のアパルトマンとなってしまう。
もう少し長くパリに住んでいたら、パリのルーフトップ写真家のコミュニティにでも入り色々な住宅の屋上から写真を撮る選択肢もあったが、私はそこまでの時間的余裕はなかったため、基本的に居住用以外のスポットを片っ端から攻めて撮影していた。ルーフトップバー、モンマルトル等の小高い丘、デパートの屋上、有料展望台、観覧車など、様々な角度からのパリを楽しんでいた。

そんな私も数回、パリ市内のAirbnbを借りて滞在し、その窓やテラスから眺望を楽しんだことがある。写真撮影だけでなく、違ったアパルトマンや地区での暮らしが楽しめるし、同じ場所に滞在し続けるより数倍パリを満喫できる。友達を招待して食事を楽しむこともあった。

 

その中でも、パリで迎える最後の年末年始に借りたAirbnbは極上だった。こんな美しい眺望を臨める住宅は見たことがないし、今後も見ることはないと思う。勿論、好みは人それぞれなので、あくまでも私の感性に基づく評価に過ぎないが、ルーフトップに興味のない友人やフランス人の友人さえ「これはさすがにすごすぎる」と驚いていたのは事実。

 
 
 
 
 
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パリ市内の美しいモニュメントのほぼすべてを一望することができるだけでなく、朝日と夕陽が両方楽しめる南向きのテラスで朝食をとることができるのだから贅沢すぎる。
正直、金銭的な出費は相当のものだったが、それだけの価値がある買い物だったと胸を張って言える。眺望だけなら、間違いなく5つ星高級ホテルなんかよりも百倍優れている。「家は一生賃貸で良い」派の私でさえ、生まれて初めて「こんな家だったら欲しい」と思った。

 

この物件のホストは、年末年始に自宅を離れるためにその間だけ自宅をAirbnbとして貸し出していた。チェックイン当日はホストと会うこともなく、物件の近くの飲食店で鍵を受け取った。物件に到着すると、フランス式7階まで小さなエレベータ上がり、いよいよその美しい部屋にたどり着いた。

間取りは1LDK。内観も十分満足できるものだったが、テラス(バルコニー)からの眺望ほど特徴的ではないので掲載は割愛する。

ベッドルームがバルコニーに繋がっており、眺望を楽しむには一度ベッドルームに入る必要がある。

とにかく絶景。気持ちが高揚してとにかく写真を撮りまくったが、その日は友達が遊びに来ることになっていたので、一通り撮影が完了した後は部屋を片付けるなど色々支度を始めた。ケーキを買って、友達と夕陽を見ながら食べて、楽しい時間を過ごす――――想像しただけでワクワクが止まらない。


部屋の片づけが済むと、直ちにベッドルームに入りバルコニーへの扉を開けた。絶景。天気は良かったが、風も強かった。


「バタン!」

 

大きな物音と共に、リビングとベッドルームを繋ぐドアが閉まった。これだけ風が強ければ、風圧でドアが閉まること自体に驚きはなく、しばらくミラーレス一眼で窓からの景色を写真に撮り続けた。この時の私は未だこの後起こる恐怖など知る由もなかった―――――わずか5分後に起こる非常事態を。

 

一通り写真を撮り終え、窓の外のエッフェル塔を眺めながらバルコニーのテーブルでコーヒーでも飲みながら会社に報告するレポートの作成でもしようかと思い、パソコンを取りにリビングに戻ろうとした時、何かがおかしいことに気づいた。

そう、ドアがおかしい。

 

ドアノブがないのだ。

 

ふと足元を見下ろすと、ドアノブの部品たちが無防備に転がっていた。未だかつて経験したことのない状況に、一体これが何を意味するのか、20秒くらい本当に理解できなかった。

取っ手の取れるティファールのCMが頭の中に流れた。これは取っ手の取れるドアなのだろうか。さすがティファールの国フランス。趣深い。

 

と、いつまでもつまらない冗談を言っている場合ではないことに気づかないほど馬鹿ではなかった。ドアノブがなければドアは開かないのは火を見るよりも明らかだ。

 

そう、この部屋から外へ出ることができなくなった。

皮肉なことに、パリで最も美しい景色が臨める部屋に、軟禁されてしまった。

 

ドアノブはプラスねじ2つで固定されるタイプだったが、ネジもネジ穴もとにかく頼りない外形であった。ドライバーらしきものは見当たらないので、指先を駆使して何とか直そうと試みるが、うまくいかない。
「よし、Airbnbのホストに連絡をとろう」―――― そう思った直後にもう1つの衝撃の事実を思い知らされた。

携帯電話もパソコンもリビングにある。

 

頭の中が真っ白になった。笑えない。誰とも連絡がとれない。もうすぐ2021年が終わろうとしているのに、通信手段のない世界に佇んでいる。目の前には泣けるくらい青々とした空と贅沢すぎるパリの象徴的なモニュメントとオスマン建築の屋根たちが織りなすパノラマが無邪気に微笑んでいる。軟禁された人間には贅沢すぎる景色で、笑うしかない。

年始のチェックアウトまで、何件か友人が訪問する予定が入っていたが、彼らがインターホンを押しても私が玄関まで向かうことはできない。彼らが連絡してきても、私はLINEもWhatsAppも確認することができない。このまま軟禁状態で、数日間飲まず食わずのまま、この豪華な部屋で独り新年を迎えるのだろうか。助けを呼ぶ方法は他にないだろうか。バルコニーから通行人に向かって叫べば誰かが手を差し伸べてくれるだろうか。Google翻訳という強い相棒を失った今、フランス語が話せない人間がどうやってこの状況を説明して助けを呼べば良いのだろうか。火事や強盗などの緊急事態であれば言葉なんて気にせず英語でも日本語でも叫べば良いのだろうけど、そこまで深刻でもないような気がして、あまり目立つ行動をとる気が引けた。

 

「冷静になれ、落ち着いて考えろ」――――自分に言い聞かせる。今までの人生でもハプニングは幾度となくあったはずだ。広島在住時、友人の結婚式のために東京に帰ろうと早朝に自家用車で空港に向かう途中、雪道でスリップして車が動かなくなったことがあった。幸い、親切な通行人が車を押すのを手伝ってくれたのと、大雪で飛行機が2時間位遅れていたことで、何とか結婚式には間に合ったが、空港の駐車場から搭乗口までは冗談抜きに走れメロス状態だった。東京に到着すると、2cm程度の積雪で人々はキャーキャー騒いでいた。40cmの積雪の中走り抜けてたどり着いた自分が少し誇らしかった。


閑話休題。色々思いめぐらせたあと、結局はドアを直さないとドアは開かないのだからドアを直すことに集中すべしという現実的な方針を固めた。ドアの構造を冷静に観察し、どのような状態になればドアを開けることができるかを冷静に考えた。

ネジ穴に手指や爪を先程よりも繊細にくねらせ、反対の手ではドアノブと本体を繋ぐ棒が動かないように細心の注意を払った。何度も失敗したが、それでも根気強く繰り返した。ノーベル賞を目指す発明家にでもなった気分だ。

 

ドアノブよ、頼む!ドアと繋がってくれ――――。


~~後半へ続く~~

【フランス生活】うちはInstagramに、ハマったんやない。 移住先の街が、たまたまフォトジェニックだったんや。

元々、私は写真を撮るよりも文章を書く方が好きだったので、フランスに移住する前はInstagramは殆ど使用していなかった。

気が向いたときにラーメンや焼肉の写真を投稿する以外、どうやってこのSNSを使えば良いのかわからなかったし、特段活用したいとも思わなかった。写真に関しても、旅行やイベントの際には申し訳程度に撮っていた程度で、写真を撮ることを目的に外へ出るなんて考えたこともなかった。

そんな私がミラーレス一眼を購入したのはフランス移住の直前、「一生に一度の機会かもしれないし、カメラがあった方が良いだろう」というフワッとした理由によるもの。

実際、移住後もしばらくは何のコンセプトもなく適当にエッフェル塔凱旋門や街中で見つけたものをパシャパシャと撮っていただけだった。

 

そんな私に転機が訪れたのは、2020年10月末から11月末までのロックダウンだった。この時期はとにかく辛かった。何が辛いって、全てが不慣れな上に異常事態なのだ。それまではフランス語はおろか英語すら日常的に使う経験が無かったような人間が、殆ど顔もわからない外国人クラスメイトとオンラインで授業を受けながら時にはグループワークやらディスカッションやらの課題もこなさねばならないのだから、一筋縄ではいかない。クラスメイトは全員弁護士で、自分の法律知識の欠如も辛い。レジュメには、日本語で調べてもよく理解できない定義が山積みだった。そして、自粛という文化のある国からやってきた極東アジア人が、ロックダウンと言われてしまうと、何が何でも家にいないといけないと思ってしまう。そして欧州の秋は東京と比べ物にならないくらい寒いし、朝9時近くまで陽が昇らないので、東京では毎朝5時起きだった私でさえ全く起きれない。

これは、10年前の新入社員時代、地方配属で田舎生活・会社員生活・一人暮らしの全てが初めてだった時の状況と少し似ている。当初は社宅の駐車場から車を出すだけで10分位かかっていたのを覚えている。

今回も、英語・フランス語・海外生活・ロックダウン・オンライン授業・多文化グループと初めてが重なりすぎていた。

 

その後、何とか課題と試験をこなして11月末を迎え、1ヶ月間のロックダウンも終焉した。勿論、飲食店や美術館などは依然閉鎖中で、夜間外出禁止令も継続していたが、街はすっかりクリスマスムードとなり、ラファイエットやプランタンなどのデパートやDior本店などがデコレーションやイルミネーションを開始し、パリが一段と美しく輝く季節が訪れた。

私はとにかくその全てを訪れたいと思った。東京では、恋人や友達から誘われない限りそういった場所にあえて赴こうとは思わなかったが、この時は1人でも全力で行きたいと思った。初めてのパリでのクリスマスに興奮していたのもあるが、先に述べた1ヶ月間があったからこその衝動だったと思う。

とにかく写真を撮りまくった。そして、日本にいる友人たちに見せたくて、その何枚かをInstagramに投稿した。これがすべての始まりだった。

 
 
 
 
 
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今見ると写真の撮り方が酷すぎて貼るのを躊躇するレベルだが、それはさておき。

この時私は、クリスマスのライトアップに飾られたパリは宝石箱のようだと感じた。

 
 
 
 
 
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当時は投稿戦略も何もなかったので、撮ったその日に全ての写真を投稿して満足していた。閲覧者からすれば、同じ人間の撮った写真が一気に何枚もフィードに表示されたわけだから、私に殺意を覚えたフォロワーも少なくなかったことだろう。

一方で、フワッとした気持ちではあったが、Instagramに写真を投稿するのも良いもんだなと思った。せっかくだからもっと投稿しよう。そして、アカウント名を印象的なものに変えたいと思い、当時Netflixで流行っていたEmily in Parisに感化されて@monamilyinparisと命名した。

 

その後もパリの写真を色々と投稿していたところ、数名のクラスメイトが私にメッセージを送ってきた。どうやら、皆が私のInstagramアカウントを気に入ってくれたようだ。

「monamily in parisのアカウントめっちゃええやん。載せてる写真が本物のemily in parisより全然良いわ。アタシもクリスマスのライトアップ見に行きたいねんけど、一緒に行こうや」

大げさかもしれないが、この時初めて、周りが自分を認めてくれたような気がした。Instagramのおかげで、皆と距離を縮めることができた気がした。

Monaの写真、うちめっちゃ楽しみにしてるけー、これからも沢山投稿してな」――――――― この時私は、限られた在仏生活期間の中で、可能な限り写真を撮り続けることを誓った。

 
 
 
 
 
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【コロナ禍の欧州旅行】フランス・マルセイユ編 ~18時以降外出禁止・博物館やレストランが閉鎖でも、最高に満足感のある旅行に~

2021年3月――――フランス国内のコロナ状況は芳しくなく、18時以降外出禁止ルールが続いていた。

これに加え、翌週からは更に厳しい規制が施行されるという噂が立っていたため、何が何でも今週末はパリから抜け出して弾丸で何処かへ行きたいという気持ちに駆られた。

何処に行こうかアレコレ考えた結果、TGV(フランスの新幹線)で3時間程度で行けて徒歩と公共交通機関だけでも観光がしやすいマルセイユに行くことに決めた。

また、内陸に位置するパリに住んでいたため、海が見たかったというのもある。

 
 
 
 
 
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上記の写真は、ノートルダム ド ラ ガルド寺院の展望台から撮影したもの。言うまでもなく絶景なので、どんなに時間が無くてもマルセイユに立ち寄るならここだけは必ず訪れてほしい。

ちなみに、私はパリのオスマン建築が大好きなのだが、町全体の眺望を考えた時にマルセイユの方が都市設計が優れていると思うのが、近代建築が伝統的な建築とうまく調和している点だ。全体的がオレンジと白の2色で纏められており、建物の形状もパリの近代建築のような醜さは感じられない。

 

御覧の通り、マルセイユ地中海に面した港町で、港に足を運べば沢山の船と活気あふれる地元の若者の姿を見ることができる。
同じ南フランスでも、ニースに代表されるコートダジュールは洗練されたリゾート地なのに対して、マルセイユはもっと雑然としていて、治安が悪いと非難されることも多い。
確かにヤンチャな若者が多い点は頷けるが、私自身は危険を感じることは全くなかった。主観だが、マルセイユは結構横浜に似ていると思う。横浜駅西口の五番街で見かける(今は知らないが少なくとも15年前は生息していた)類のような人間模様が繰り広げられているだけ。もし、マルセイユが危険な場所なら、横浜も危険な場所ということになる。
旅行ブログ等を読んでいると、「ここは治安が悪い」「行かない方が良い」と神経質になりすぎなケースが多い気がする。勿論、平和ボケしている人は気を付けるに越したことはないのだが、別に日本が安全かというとそうでもない場合もある。

19ヶ国を旅行したことのある私が危険な目に遭ったのは全て日本国内(というか実家の近辺)だし、国や都市だけでは危険度なんて測れない。

 

 
 
 
 
 
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上記は古き良き下町風情の残るパニエ地区。

洗濯物が外に干されていたり、電柱や電線が外に出ていたりするのはパリでは見られない光景なので、とても新鮮だった。

その他にも、船に乗って小さな島を訪れてみたり、漁師町の小さな区画を訪れたり、マルセイユには素晴らしい見どころが沢山あるが、キリがないので割愛する。

写真を私のinstagramアカウント(@monamilyinparis)に沢山掲載しているので、興味があれば是非ご覧いただきたい。

 

さて、あたかも普通に観光を楽しめたかのように色々記載したが、忘れてならないのが、この時期は未だフランス全土で18時門限や博物館・飲食店の閉鎖が続いており、せっかくマルセイユに来ても博物館や寺院などの屋内観光施設には一切入場できないだけでなく、地中海料理に舌鼓することもできなかった。

実際、昼・夜の食事は全てホテル近隣のパン屋さんで済ませたし、18時以降はずっとホテルに滞在していた。

これを聞くと、「え、そんなので旅行が楽しめるの?」と思われるかもしれない。だが、不思議なもので、私は十分すぎるほど満喫することができた。

全ては発想の転換である。食事や博物館にお金をかける必要がないのなら、浮いたお金でホテルのランクを上げることができる。外出禁止となる18時以降、夕日や夜景を楽しみたいなら、眺望の良い部屋を予約すれば良い。衛生上の理由でホテルが食堂を閉鎖するため、朝食は部屋まで運んでもらえるので、VIP待遇のような気分が味わえる。

 
 
 
 
 
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上記は全てホテルの窓から撮影した写真。平常時だったら18時以降も外出できる一方、観光客の波に揉まれて撮影は困難だっただろう。

余談ながら、19時過ぎくらいまで外でヤンチャな若者と警察が喧嘩していて、窓から眺めているのも中々面白かった(笑)

ちなみに、私が宿泊したホテルはGrand Hotel Beauvau Marseille Vieux Port というホテル。利便性・眺望・建物の美しさ・朝食・清潔さなど、申し分ないホテルだったのでとてもオススメだが、現在の価格をBooking.comで調べると250€以上することが判明。私が宿泊した時は170€位だったので、平常時に泊まれないランクのホテルに安価で泊まれるのもコロナ禍に旅行する醍醐味だと思う。


さて、【コロナ禍の欧州旅行】シリーズ第1弾「マルセイユ編」はお楽しみいただけただろうあか。もし、フランス旅行を考えているのであれば、マルセイユも是非目的地の候補に入れていただきたい。

このブログは未だ開設したばかりなので、旅行記以外にも何種類かのジャンルの記事を投稿していく予定だが、なるべく読者の皆様が面白いと思う記事を中心に書いていきたいので、コメント欄などに感想を頂ければ大変ありがたい。

(記事の種類によって文体も変わると思いますが、そのあたりもご容赦ください)

尚、この旅行記シリーズはInstagramアカウント「@monamilyinparis」の写真をベースにしておりますので、もし宜しければInstagramもフォローしていただけると嬉しいです。

 

では、またお会いしましょう!

ジブリ・ディズニー映画のセリフを原語と吹替で比較

2020年の秋、フランス移住後いきなりロックダウンで外に出れない中、「それでもフランスにいるからこそできることって何だろう」と考えた結果、「日本では見られないジブリNetflixで見れるやん」という結論に至り、意味もなく英語吹替(+他の言語も)で見たりしてみたところ、色々と発見がありました。

ディズニーも混ざってますが、以下に言語と吹替の比較を書いてみます。

 

千と千尋の神隠し(Spirited Away)】

(原語)
銭婆「一度あったことは忘れないものさ 思い出せないだけで」

(英語吹替)
銭婆 "Once you met someone, you'll never really forget him. It just takes a while for your memories to return."

元々、抽象度が高いからこそ心に残る台詞なので、英語だと説明しすぎで、完全に良さが死んでしまっていますね。

【モアナと伝説の海(Moana)】

(原語)    
Moana "Sometimes our strengths lie beneath the surface … Far beneath, in some cases.”

(日本語吹替) 
Moana「能ある鷹は爪を隠すって言うでしょ?・・・能あるニワトリだけどね」

面白い訳し方だとは思うけど、意味が変わってしまっているので、あとはどちらが好みかという話になりますね。
個人的には、「能力があることを隠している」のではなく、「本人も気づかないくらい、深いところに自分の強みがある場合もある」と受け止めた方がストーリーの深さを味わえると思うので、圧倒的に原語が好きです。

ベイマックス(Big Hero 6)】

(原語)    
Hiro "I'm satisfied with my care."
↓ 
(日本語吹替) 
Hiro「ベイマックス、もう大丈夫だよ」

個人的には、「帰ってきたドラえもん」のオマージュみたいな日本語吹替版が圧倒的に好き。
「大丈夫」って抽象的なんだけど、後半の感動シーンでヒロがベイマックスに言う「もう大丈夫だよ」は、
のび太ドラえもんに「僕はもう君がいなくても自分の力でジャイアンに勝てるよ」という趣旨で言う「大丈夫だよ」を彷彿させます。

と、ベイマックスの日本語吹替版が傑作だったことを踏まえると、
美女と野獣のフランス語吹替版や、ムーランの中国語吹替版が気になるところです。

【おまけ:火垂るの墓(Grave of the Fireflies)】

(原語)
節子「にいちゃん・・・」
(英語吹替)
節子 "Seita!"

昭和10年代生まれの日本人女性が尊属の男子を呼び捨てにしている絵は中々シュールやw

以上、いかがだったでしょうか?
あと、ジブリを英語吹替で見て驚いたこととしては、原語(日本語)だと台詞の無いところに、英語吹替版だと台詞が挿入されていたこと。日本人の観点から見ると、「それ言ったら風情がなくなるやんけ!」って思うようなところに、状況を説明するような台詞が入っているんですよね。

・・・まあ、ジブリに限らず、原語と吹替の比較って面白いなっていつも思います。

ディズニー映画とか、時々吹替の方が良い台詞になってる場合もあるなと感じるんですよね。

軽々しく「翻訳の仕事はもうすぐAIに奪われる」みたいに簡単に言う人も多いけど、ディズニー映画の吹替って結構クリエイティブな仕事だと思うよ。
歌の吹替は、キャラクターの口の形に合うような日本語を選んでますからね。
あと、印象的だったのはアラジンのホールニューワールドの以下の歌詞。

(原語)
"Tell me, princess now when did you let you heart decide?" 
(日本語吹替)
"プリンセス、自由の花をほら"

一見、全く関係ない言葉を選んでるようにも見えるんだけど、このシーンでアラジンはジャスミンに白い花を手渡しているんですよ。
これを「自由の花」に見立てて、「君は今まで自分の意志で物事を決めることができなかったけど、この花を受け取れば君はもう自由だ」って言ってるんですよね。こういうのはAIにはできない仕事だと思いますよ。

・・・色々つれづれなるままに書いてしまいましたが、私は作詞家気質(一応保土ケ谷区歌作詞者です)なので、結構こういうの考えるの好きだったりします。
もし、楽しんでいただけた場合は、イイネとかコメントとかいただけると励みになります。

これからも面白いと思っていただける記事をどんどん書いていこうと思いますので、よろしくお願いいたします!

このブログを始めるにあたって

皆様初めまして、monamilyinparisです。東京都在住、30代会社員です。
20代後半で一念発起して英語の勉強を始め、TOEIC550→950点達成。
コロナ禍ど真ん中の2020年10月から2022年1月までフランスに大学院留学しておりました。
おかげさまで貴重な経験が色々とできたので、皆様のお役に立てることがあればと思い(&何か面白い発信ができればと思い)、ブログを始めることにしました。

●ブログの主なコンテンツ
・大学院留学
・コロナ禍のフランス生活
・コロナ禍のヨーロッパ旅行
・東京での自宅語学学習(英語、フランス語)

●その他
・全然関係ありませんが、横浜市保土ヶ谷区の区歌作詞者でもあったりします(笑)

読者の皆様の反応を見ながら、何を中心に書いていくかは考えていこうと思いますが、今のところ以上のような感じで考えています。

どうぞよろしくお願いいたします。